賃料減額交渉について -テナント側からの視点で説明します。①-

オフィスや店舗などは、賃貸借契約を締結して、その物件を利用していることが多いかと思います。

賃貸借契約は、通常、2~3年程度の契約期間となっています。

一方で、賃貸市場は、日々変動しています。

契約後に、相場賃料が減少を続けたとすると、現在契約中の賃料は、相場と比較して、割高になります。

割高なので、賃料を下げて欲しいと思っても、その交渉をするのは、更新契約時になることが多いです。その時に、賃料を下げてもらえればいいですが、交渉が上手くいかなかったり、現在の相場賃料を把握していないなどで、放置している場合には、現在の割高な賃料のまま、何年も経過していくことになります。

そうすると、10年後に、賃料相場を調べたら、相場の賃料と大きな開差になっていた、ということはあり得ます。

もし2年後に賃料の減額交渉をしていれば、その後8年間は、余計な賃料を支払わずに済みます。

ですので、定期的に賃料相場を調べ、現在の賃料と相場賃料に開差が生じている場合には、早めに行動をするのが、損失を最小限にすることになります。

開差が生じているといっても、現在の賃料が相場賃料よりも割安であれば、得をしているのですから、それをビルオーナーにわざわざ知らせる必要はありません。

この場合に、一つ注意しなければいけないのは、オーナーから、賃料を上げてくれと要求される可能性があることです。

このような場合に備えて、準備をしておくことも重要なポイントになります。

以下、賃料減額交渉の手順について、説明していきますが、一度で説明するのは、困難な為、今回は、現在の賃料が適正水準にあるのかどうかを調べるところまで説明します。

目次

1.手順

ここで一度、賃料減額交渉の大まかな手順について、確認します。

大まかに、次の2つに分けられます。

  • 賃料水準の把握
  • ビルオーナーへの交渉

先に触れましたが、今回は、賃料水準の把握について、解説します。

手順としては、次回説明するビールオーナーへの交渉が、最大のポイントになります。

交渉次第で、賃料減額が可能かどうか変わってきますし、交渉次第では、裁判になることもあり、いくつかの展開が想定されます。

2.賃料水準の把握

まず、賃料水準の把握です。

最近では、インターネットで、賃貸物件を検索することも多くなりましたので、調べること自体はそれほど難しくはないかと思います。

例えばアットホームですと、以下のような画面になります。

赤枠で囲っていますが、店舗か事務所かで異なっています。

検索する際には、例えば、事務所でしたら、なるべく近くの物件で、築年が近く、賃貸面積が大きく異ならないものを探すようにして下さい。

ここで注意していただきたいのは、賃貸面積です。

賃貸面積だけでなく、ビル全体の面積も意識する必要がありますが、面積の違いによって、ビルのグレードも異なり、賃料水準も異なるからです。

現在借りている物件の賃貸面積が30㎡だったとした場合に、200㎡の物件と検討するのは、やや難があります。

店舗の場合も同様ですが、店舗の場合には、築年は、事務所ほど大きな影響を与えないことも多いです。

店舗の場合に気を付けていただきたいのは、業種です。

通常店舗の場合、どんな業種でも可というのは少なく、あらかじめ制限のあることが多いです。

大きく分けるとは、飲食が可能かどうか、飲食が可能だとしても、重飲食が可能かどうかです。

物販か飲食かで、賃料水準が大きく異なることは、ないですが、出来る限り類似の物件と比較するように心がけるべきです。

調べた結果、以下の3つのケースが考えられます。

  • 相場賃料と現在の賃料がほぼ同様
  • 相場賃料より現在の賃料が高い
  • 相場賃料より現在の賃料が安い

一番目の、相場賃料と現在の賃料がほぼ同様、ということでしたら、賃料の減額交渉をすることは困難になります。

ですが、この場合でも、業績不振により、賃料の減額が必要ということでしたら、ビルオーナーに交渉すべきでしょうか。

二番目のケースが、本ブログで取り扱う内容になります。

現在の賃料が、相場賃料よりも高いのですから、ビールオーナーと交渉して、賃料を下げてもらう必要があります。

なお、ここで、賃料が高い、というのは、どれぐらい高ければいいかということになりますが、一概には言えませんが、10%以上の開差は、最低限必要かと思います。

交渉していくには、手間を要しますし、裁判になれば、弁護士費用等が必要になります。

そうしますと、賃料減額によるメリットとそれに要する手間と費用も考慮して判断しなければなりません。

三番目のケースでは、テナントは得をしているのですから、賃料はそのままにしておけばいいです。

ですが、反対に、ビルオーナーから、賃料の増額交渉を要求されることが考えられますので、それを踏まえて、準備しておく必要があります。

3.まとめ

今回は、賃料相場の調べ方について、説明させていただきました。

次回に説明させていただく、ビルオーナーとの交渉が、重要、且つ、困難な内容になります。

近いうちに、続編をアップしたいと思います。

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この記事を書いた人

東京都中央区日本橋室町にて、不動産、不動産鑑定会社である堤不動産鑑定株式会社を経営しています。
会社ホームページはこちらです。
https://www.tappraisal.co.jp/

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