闇バイトなど、近年、犯罪が身近になってきたように、感じられている方は多いのではないでしょうか。
新聞、ニュースなどでは、日々、様々な事件報道がなされており、私の体感としても、犯罪が増えているように感じています。
外出などをするのでしたら、そもそも危険なところに行かなければ、犯罪に遭遇する可能性もなくなりますので、それでいいですが、住む場所は、簡単には、移転する訳にもいきませんので、可能な限り、犯罪発生の可能性の低いところに住みたい、と考えておられる方は多いかと推測します。
そこで、今回は、少し大雑把になりますが、東京23区の区毎の犯罪件数を探っていきます。

1.23区の犯罪件数
まず初めに、23区の犯罪件数を掲載します。
データは、警視庁のホームページに掲載されている「区市町村の町丁別、罪種別及び手口別認知件数」によります。
今年の1月から11月までの累計になります。


出所:11月累計 区市町村の町丁別、罪種別及び手口別認知件数(警視庁)
犯罪件数順になっています。
赤字は、犯罪件数上位5位までの区、青字は、犯罪件数下位5位までの区となっています。
上位の新宿区や足立区は、皆様が想像していたとおりでしょうか。
一方、犯罪件数の少ない下位の区も、目黒区や文京区なども、恐らくイメージどおりなのかと思われます。
単純な件数比較では、新宿区の犯罪件数は文京区の5倍となっています。
2.人口当たりの犯罪件数
上記でも、参考にはなるかと思いますが、各区は、面積や人口も異なりますので、単純な犯罪件数だけでの比較では、実態がみえてこないかもしれません。
そこで、人口当たりの犯罪件数について、分析を試みます。
(1)犯罪件数、人口、面積
下表は、犯罪件数に、常住人口、昼間人口、面積を追加したものです。
データは、令和2年国勢調査による 東京都の昼間人口(従業地・通学地による人口)によります。

出所:11月累計 区市町村の町丁別、罪種別及び手口別認知件数(警視庁)、令和2年国勢調査による 東京都の昼間人口(東京都)
犯罪件数順となっていますが、このままでは少し分かりにくいので、人口当たりの犯罪件数を求めます。
(2)常住人口1人当たり犯罪件数
都心区では、常住人口と昼間人口が大きく異なりますので、常住人口と昼間人口のそれぞれで見ていきます。
まず、常住人口1人当たり犯罪件数です。

意外なことに千代田区が1位となっています。
先にも触れましたが、千代田区は、常住人口と昼間人口が大きく異なりますので、その影響かと思われます。
(3)昼間人口1人当たり犯罪件数
次に、昼間人口1人当たり犯罪件数です。

昼間人口をもとにしたものが、実態に近いのではないかと思います。
新宿区は、依然上位にありますが、単なる犯罪件数では、上位5位には、入っていなかった台東区、豊島区、葛飾区、墨田区が上位を占めています。
足立区は、単なる犯罪件数では、2位でしたが7位と順位を下げています。
荒川区、中野区は、単なる犯罪件数では、下位でしたが、順位をだいぶ上げています。
一方で、文京区、中央区は、依然下位のままとなっています。
また、常住人口では1位だった千代田区が、昼間人口では、最下位となっています。
全体的な傾向として、新宿区と渋谷区を除き、地価が高額な区の犯罪件数が低くなっていることが分かります。
3.面積当たり犯罪件数
最後に、区毎の面積も分かっていますので、面積当たりの犯罪件数を見たいと思います。

一目して気づかれるかと思いますが、単なる犯罪件数では上位だった区が下位になり、反対に下位だった区を上位となっています。
江戸川区、足立区、世田谷区、大田区は、23区の中でも、面積が大きいです。
従って、面積も大きければ、それに比例して犯罪件数も大きくなってしまうのでしょうが、面積当たり(1㎢当たり)で比較すると、決して多くはないことが分かります。
特筆すべきは、新宿区ですね。
ダントツの1位です。
新宿区に恨みがある訳ではありませんが、今回みてきた順位の中で、いずれも上位を占めています。

4.まとめ
少し足立区びいきの話しになってしまいますが、今回みてきたデータからは、世間での一般的なイメージとは異なり、数字上は、足立区の治安はそれほど悪くはないのではないか、ということが言えそうです。
足立区に限らず、その他の区でも同様と言えるかもしれません。
単なるイメージではなく、数字に基づいた事実に基づき、判断いただけたらと思います。
今回の分析は、これで一旦終わりますが、商業地面積と住宅地面積の多寡でも、犯罪件数の意味合いは異なってくると考えています。
これらを踏まえて、近いうちに、再度分析を試みたいと思います。