はじめに:住宅価格が高すぎる今、住宅購入はどうする?
最近、住宅の価格がどんどん上がっていると感じていませんか?
特に新築マンションや新築戸建住宅の価格は、ここ数年で大きく上昇しています。新築マンションは、高嶺の花と言ってもいいかもしれません。
その影響で、新築をあきらめて中古マンションを検討する人が増え、今度は中古マンションの価格まで上がってきました。
そして当然ながら、中古戸建住宅の価格もじわじわと上がっています。
それでも、中古戸建住宅は他の選択肢と比べて、まだ手が届きやすい価格帯にあることが多いのです。
この記事では、これから住宅を購入しようとしている方に向けて、
「中古戸建住宅って本当におすすめなの?」という疑問にお答えします。

中古戸建住宅とは?新築戸建住宅、マンションとの違いを知ろう
「中古戸建住宅」と聞くと、どんなイメージを持ちますか?
「古くてボロボロ」「修理が大変そう」といった不安を感じる方もいるかもしれません。
でも実は、中古戸建住宅には新築にはない魅力がたくさんあるんです。
まず、中古戸建住宅とは、すでに誰かが住んだことのある一戸建て住宅のことです。
築年数はさまざまで、築10年以内の比較的新しいものから、築30年以上のものまで幅広くあります。
新築との大きな違いは、やはり価格です。
同じエリア・同じ広さでも、新築より中古の方が数百万円以上安くなることも珍しくありません。
その分、浮いたお金でリフォームをしたり、家具や家電を充実させたりすることもできます。
次に、マンションとの比較になりますが、戸建住宅は、当たり前なのですが、土地付きです。
マンションのように「土地の一部を共有する」のではなく、土地も建物もすべて自分のものになります。
これは将来的に建て替えをする際に大きなメリットになります。
さらに、中古戸建住宅はすぐに入居できる物件も多く、引っ越しのタイミングを柔軟に調整しやすいのも魅力です。
もちろん、築年数が古い物件は、建物の状態や耐震性などをしっかり確認する必要があります。
でも、最近では「インスペクション(住宅診断)」を受けた物件も増えており、安心して購入できるケースも増えています。

中古マンション vs 中古戸建住宅:5つの違いを比較!
住宅を購入する際、多くの人が「中古マンション」と「中古戸建住宅」のどちらにするかで悩みます。
ここでは、両者の違いを5つのポイントに分けて、わかりやすく比較してみましょう。

土地の権利
中古戸建住宅では、土地はすべて自分のものになります。
これは「完全所有権」と呼ばれ、建物と一緒に土地も丸ごと所有できるのが特徴です。
一方、中古マンションでは、土地は他の住人と共有する形になります。建物に応じた土地の持分を有することになります。
少し難しい話しになりますが、マンションの土地権利(共有持分)は「敷地権」と呼ばれます。
先のとおりマンションの土地権利は、共有持分なのですが、土地と建物を、それぞれ別の権利にしてしまうと、別個に売買することが出来てしまいます。そうしますと、権利関係が複雑になってしまい、後のトラブルとなる可能があります。これを避けるために、土地と建物を分離して処分できないようにしたのが「敷地権」となります。
ですので、マンションを売買する場合には、自働的に土地の持分も売買することになります。
以上のことから、マンションの土地は共有状態にありますが、マンションを所有している時、マンションを売却する時においても、特段の不都合は生じません。
建物の権利
戸建住宅では、建物も土地と同様にすべて自分のものです。
一方、マンションでは、建物の中の「一部(自分の部屋)」だけを所有する形になります。
これを「区分所有」といいます。
建物の権利につきましても、先の土地と同様に、マンションでは区分所有となりますが、所有時、売却時において、問題が生じることはありません。
管理・修繕
戸建住宅では、管理や修繕はすべて自分で行う必要があります。これは当たり前ですね。
屋根の修理や外壁の塗り替え、庭の手入れなど、すべて自分の判断と費用で対応します。
ですので、築年数を経るほど、適切に管理、修繕を行ってきた中古戸建住宅と、そうでないものとでは、大きく価値が異なってきます。 この見極めが大事なのですが、後程、再度触れます。
一般的に、30年程度で、木造住宅の価値はゼロとなりますので、お金を掛けて、管理、修繕をすることは少ないように思われ、なにか不具合があった場合に、その時に対応しているということが多いように思います。
一方、マンションでは、管理組合が行います。 自主管理の場合は、管理組合が、そうでない場合は、管理組合が業者に委託しています。マンションの場合は、管理費、修繕積立金も徴収されていますので、管理、修繕に関しては、中古戸建住宅よりは確実に行われている可能性が高いです。
ですが、マンションの場合でも、修繕積立金が十分徴収されていなかったりますので、この点に関しては、注意が必要です。
また、例えば、雪が降る地域でしたら、中古戸建住宅でしたら、自ら雪かきをしなければいけませんが、マンションの場合でしたら、自分でしなくてもいいので、これはマンションのメリットになるかもしれません。
マンションの方が管理がラクに感じるかもしれませんが、修繕積立金が不足していると追加の負担が発生したりするリスクもあります。
また、戸建住宅は自分のペースで修繕計画を立てられるというメリットもあります。
売買
売買に関しては、中古戸建住宅も中古マンションも自由に行えますので、この点に関しては、違いは生じないものと思われます。
なお、中古マンションは、取引市場が成熟していますが、中古戸建住宅の場合、中古マンション市場と比較すると、やや未成熟なように思います。
従いまして、中古戸建住宅の場合、土地・建物の大きさ、管理の状況等が様々で、価格の判断が難しいことがあります。
そのため、売却時には不動産鑑定士や専門家のアドバイスが重要になります。
ただし、土地の価値が高いエリアでは、戸建住宅の方が資産価値が安定しやすいという面もあります。
建て替え
中古戸建住宅でしたら、築後30年程度、中古マンションでしたら、築後50年近く経過すると、そろそろ建て替えを検討する必要が出てきます。
では、中古戸建住宅を建て替えると場合と、中古マンションを建て替える場合、どんな違いがあるでしょうか。
まず、中古戸建住宅を建て替える場合を考えてみましょう。 建て替え費用(既存建物の取り壊し費用を含む。)を確保するのが第一段階です。 自己資金なのか、銀行から融資を受けるのか、その両方なのか。 建て替え費用を確保出来れば、建て替え期間中の転居先を探して、完成後、戻ってくるだけです。資金の確保さえできれば、全て自分の好きなように行うことが出来ます。
中古マンションの場合は、どうでしょうか。
建て替えをするには、区分所有者数及び議決権の4/5以上の賛成が必要となります。 ですので、自分の意志だけでは、建て替えは出来ません。 スムーズに4/5以上の賛成が集まればいいですが、そうでない場合には、かなりの時間を要することになります。
また、建て替える建物のプランも、中古戸建住宅でしたら、自分で自由に決められますが、中古マンションの場合には、そうはいきません。
以上、まとめますと以下のとおりとなります。
中古戸建 | 中古マンション | |
土地 | 所有権 | 持分(敷地権) |
建物 | 所有権 | 所有権(一部) |
管理・修繕 | 自ら行う | 管理会社、管理組合 |
売買 | 自由に出来る | 自由に出来る |
建て替え | 自由に出来る | 制限を受ける |
このように、まとめてみますと、「中古マンション」と「中古戸建住宅」では、「管理・修繕」と「建て替え」の点で相違があることが分かります。
次の章では、中古戸建住宅ならではの魅力やおすすめポイントをさらに詳しくご紹介していきます。
中古戸建住宅のメリット
中古戸建住宅には、新築や中古マンションにはない魅力的なメリットがいくつもあります。
ここでは、住宅購入を検討している方に向けて、特に注目すべきポイントをわかりやすくご紹介します。
価格が手頃で、土地付きの資産が手に入る
中古戸建住宅の最大の魅力は、価格の手頃さです。
新築戸建住宅や新築マンションは、近年の建築費や土地価格の高騰により、かなり高額になっています。
一方、中古戸建住宅は、築年数が経過している分、建物の価値が下がっているため、土地価格に近い金額で購入できることもあります。
例えば、築30年の木造住宅は、建物の評価額がほぼゼロになることもあります。
その場合、実質的には「土地代だけで家が買える」ということもあり、資産としての土地を手に入れながら、住居も確保できるという非常に合理的な選択になります。
建て替えやリフォームの自由度が高い
中古戸建住宅は、自分の好きなタイミングで建て替えやリフォームができるのも大きなメリットです。
マンションの場合、建て替えには住人の4/5以上の賛成が必要で、実現までに長い時間がかかることがあります。
しかし、戸建住宅なら、自分の判断だけで建て替えが可能です。
また、リフォームも自由にできます。
間取りの変更、外壁の塗り替え、キッチンや浴室の設備更新など、自分のライフスタイルに合わせて住まいをカスタマイズできるのは、戸建住宅ならではの魅力です。
最近では、リノベーション済みの中古戸建住宅も増えており、購入後すぐに快適な生活を始められる物件もあります。
管理費・修繕積立金が不要
マンションでは、毎月「管理費」や「修繕積立金」を支払う必要があります。
これは、共用部分(廊下、エレベーター、外壁など)の維持管理に使われる費用です。
しかし、中古戸建住宅では、こうした費用は一切かかりません。
もちろん、修繕やメンテナンスは自分で行う必要がありますが、自分のペースで予算を組めるため、無理なく対応できます。
例えば、「今年は外壁の塗り替えをして、来年は屋根の修理をしよう」といったように、計画的にメンテナンスを進めることができます。
自然災害や季節の変化にも柔軟に対応できる
戸建住宅は、自然災害や季節の変化に対して、柔軟に対応できるという点でもメリットがあります。
例えば、雪が多く降る地域では、マンションの場合は管理会社が雪かきをしてくれることもありますが、戸建住宅では自分で対応する必要があります。
これは一見デメリットに見えるかもしれませんが、自分の判断で早めに対応できるという点では安心感があります。
また、台風や地震などの災害時にも、自宅の状況をすぐに確認し、必要な対策を取れるのは戸建住宅の強みです。
長期的な資産形成に有利
中古戸建住宅は、長期的な資産形成にも有利です。
特に、土地の価値が高いエリアでは、建物の価値がゼロになっても、土地の資産価値は残り続けます。
将来的に建て替えをして新しい家を建てることもできますし、土地を売却して資金を得ることも可能です。
また、相続や資産運用の観点からも、土地付きの戸建住宅は有利な選択肢となります。
家族のライフスタイルに合わせやすい
戸建住宅は、家族構成やライフスタイルに合わせて柔軟に住まいを設計できるのも魅力です。
例えば、子どもが小さいうちは広い庭で遊ばせたり、将来的には親との同居を考えて部屋数を増やしたりと、ライフステージに応じた住まいの変化に対応しやすいのです。
マンションでは、間取りの変更に制限があるため、こうした柔軟な対応は難しいことがあります。
このように、中古戸建住宅には「価格」「自由度」「資産性」など、さまざまなメリットがあります。
次の章では、購入前に知っておきたいデメリットや注意点について詳しく解説していきます。

中古戸建住宅のデメリットと注意点
中古戸建住宅には多くのメリットがありますが、購入前に知っておきたい注意点やデメリットもあります。
ここでは、後悔しないために押さえておきたいポイントをわかりやすく解説します。

建物の老朽化と耐震性
中古戸建住宅は、築年数が経過しているものが多く、建物の老朽化が進んでいる可能性があります。
特に築30年以上の木造住宅では、柱や梁の劣化、雨漏り、シロアリ被害などが見られることもあります。
また、耐震性にも注意が必要です。
1981年以前に建てられた住宅は、旧耐震基準で設計されているため、地震に対する強さが不十分な場合があります。
購入前には、インスペクション(住宅診断)を受けて、建物の状態をしっかり確認することが大切です。
修繕履歴の確認が重要
中古戸建住宅は、過去にどんな修繕が行われてきたかによって、今後の維持費や住み心地が大きく変わります。
例えば、外壁や屋根の塗り替え、水回りの設備交換などが定期的に行われていれば、安心して住むことができます。
逆に、修繕履歴が不明だったり、長年放置されていた物件は、購入後に大きな修理費がかかる可能性があります。
不動産会社に「修繕履歴の資料」や「インスペクション報告書」があるかどうかを確認しましょう。
インフラや周辺環境の変化
中古戸建住宅は、昔ながらの住宅街にあることが多く、周辺環境が現在の生活スタイルに合わない場合もあります。
例えば、近くにスーパーや病院がない、駅まで遠い、道路が狭いなどのケースです。
また、古い住宅地では、上下水道や電気設備が古くなっていることもあります。
その場合、設備の更新に費用がかかることもあるため、事前に確認しておくことが重要です。
契約不適合責任の範囲が限定されることも
中古住宅の売買では、売主が個人の場合、契約不適合責任(欠陥があった場合の補償)が限定的になることがあります。
つまり、購入後に不具合が見つかっても、補償されないケースがあるということです。
不動産会社が売主の場合は、一定期間の保証がつくこともありますが、契約内容をよく確認することが大切です。
特に、雨漏りや構造上の欠陥など、重大な問題がある場合は、事前にしっかりチェックしましょう。
しかし、これも見方を変えれば、その分安く買えることになりますので、必ずしもデメリットだけではないことは知っておいて下さい。
再建築不可物件のリスク
中古戸建住宅の中には、再建築ができない物件も存在します。
これは、建築基準法の条件を満たしていない土地に建てられた住宅で、取り壊した後に新しい家を建てることができないというものです。
再建築不可物件は、価格が安いことが多いですが、将来的な資産価値が低く、売却も難しくなる可能性があります。
購入前には、必ず「再建築可能かどうか」を不動産会社に確認しましょう。

住宅ローンの審査が厳しくなることも
築年数が古い中古戸建住宅の場合、住宅ローンの審査が厳しくなることがあります。
金融機関によっては、築年数が一定以上の物件には融資をしない、または借入可能額が少なくなることもあります。
そのため、購入を検討している物件がローンの対象になるかどうか、事前に金融機関に相談しておくと安心です。

このように、中古戸建住宅にはいくつかの注意点がありますが、事前にしっかり確認し、専門家のサポートを受けることでリスクを減らすことができます。
次の章では、失敗しないための「賢い中古戸建住宅の選び方」について詳しくご紹介します。
賢い中古戸建住宅の選び方
中古戸建住宅は、価格や自由度の面で魅力的な選択肢ですが、選び方を間違えると後悔することもあります。
ここでは、失敗しないために押さえておきたい「賢い選び方」のポイントをわかりやすく解説します。
築年数と構造をチェックしよう
まず確認したいのが、築年数と建物の構造です。
築年数が古いほど、建物の劣化や耐震性の不安が大きくなります。
特に1981年以前に建てられた住宅は、旧耐震基準のため、地震に弱い可能性があります。
また、構造も重要です。
木造住宅は価格が安い反面、耐久性や防音性に劣ることがあります。
鉄骨造やRC造(鉄筋コンクリート造)は、耐久性が高く、長く住むには安心です。
築年数だけでなく、構造の種類も合わせて確認することが大切です。
インスペクション(住宅診断)を活用する
中古住宅を購入する際は、インスペクション(住宅診断)を受けることを強くおすすめします。
これは、専門の建築士などが建物の状態をチェックしてくれるサービスです。
インスペクションでは、以下のような項目を確認してくれます:
- 屋根や外壁の劣化状況
- 水回りの配管や設備の状態
- シロアリ被害の有無
- 基礎や構造の安全性
診断結果をもとに、修繕が必要な箇所や費用の目安がわかるため、安心して購入判断ができます。
最近では、インスペクション済みの物件も増えており、購入者にとって心強い材料になります。
土地の資産価値と将来性を見極める
中古戸建住宅は、マンションとは異なり、土地の価値が資産価値の大部分を占めることがあります。
そのため、建物だけでなく、土地の価値や将来性を見極めることが重要です。
以下のようなポイントをチェックしましょう:
- 周辺の地価の推移
- 再開発やインフラ整備の予定
- 学校や商業施設の充実度
- 駅やバス停までの距離
土地の価値が高いエリアであれば、将来的に建て替えや売却をしても資産価値が保たれやすいです。
逆に、過疎化が進んでいる地域では、資産価値が下がる可能性もあるため注意が必要です。
建て替えやリフォームの可能性を考える
中古戸建住宅は、将来的に建て替えやリフォームをする前提で購入するのも賢い方法です。
築30年以上の物件であれば、建物の価値はほぼゼロになっていることが多く、土地代だけで購入できるケースもあります。
その場合、以下のような戦略が有効です:
- 最低限のリフォームをして数年住む
- 建て替え費用を貯めながら生活する
- 資金が整ったら、自分好みの家を建てる
このように、段階的に住まいを整えていくことで、無理なく理想の住まいを手に入れることができます。
不動産鑑定士や専門家の意見を活用する
中古戸建住宅は、物件ごとの個性が強く、価格の妥当性を判断するのが難しいことがあります。
そんなときは、不動産鑑定士や住宅診断士などの専門家の意見を活用することが大切です。
特に土地の価格が妥当かどうか、建物の修繕費がどれくらいかかるかなど、専門的な視点でアドバイスをもらうことで、安心して購入判断ができます。
また、住宅ローンの相談や契約内容の確認なども、専門家に任せることでトラブルを防ぐことができます。
このように、中古戸建住宅を選ぶ際には、「築年数」「構造」「土地の価値」「将来の計画」「専門家の意見」など、複数の視点から慎重に判断することが大切です。
次の章では、これまでの内容をまとめながら、中古戸建住宅の魅力を再確認していきましょう。
まとめ:中古戸建住宅は「自由」と「経済性」のバランスが魅力
中古戸建住宅は、住宅価格が高騰する今の時代において、手頃な価格で土地付きの住まいを手に入れられる選択肢として注目されています。
マンションと比べて、建て替えやリフォームの自由度が高く、資産形成にも有利です。
もちろん、築年数や建物の状態、周辺環境など、注意すべき点もありますが、インスペクションや専門家のサポートを活用することで、安心して購入することが可能です。
「自分らしい住まいを、無理のない予算で手に入れたい」
そんな方には、中古戸建住宅は非常に魅力的な選択肢となるでしょう。
購入後の暮らし方や将来の建て替えまで見据えて、賢く選ぶことが、後悔しない住宅購入への第一歩です。