無道路地でも諦めるのは、まだ早い。建築の可能性を探る。

無道路地と聞いて、どんなことを想像されますでしょうか。

不動産や建築に関わっている方でしたら、イメージは沸くと思いますが、不動産に馴染みのない方からすると、良く分からないかもしれません。

そのまま読むと道路がないのですから、道路に接していない土地、という風に思われるでしょうか。
これは間違ってはいませんが、今回話題にしたいのは、建築基準法の道路に面していない土地のことです。
今回のブログでは、この建築基準法の道路に面していない土地のことを、無道路地と呼ぶことにします。

普段、何気なく利用している道路ですが、都市計画区域外、準都市都市計画区域外を除くと、建築基準法上の道路に接道していないと、建物を建てることが出来ません。
ですので、意外と重要な内容になります。

極端な例になりますが、土地を買って、建築基準法の道路に接道していない為、建築出来ないということになりましたら、大問題です。
通常は、不動産会社を介して購入すれば、重要事項説明などで、その旨の説明はありますので、買ってから、建物が建てられない、というようなことにはならないかとは思われますが。

なお、先の道路に接していない土地についても、機会がありましたら、説明をしたいと思います。
道路に接していないのですから、その土地への進入も制限されるので、単独での有効利用は、極めて困難です。

以下、用語の説明も含めて、解説していきます。

目次

1.建築基準法の道路

先に、都市計画区域外、準都市計画区域外を除く、と書きましたが、これは言い換えると、都市計画区域内、準都市計画区域内、と云うことが出来ます。
ですので、ここでは、以下の話の前提として、都市計画区域内とします。

少しややこしいですが、道路の話は、建築基準法の話になります。
一方で、都市計画区域かどうか、というのは都市計画法の話になります。
今回、都市計画法には、深入りしませんが、都市計画区域かどうかは、区役所、市役所、役場で確認できます。
ざっくりとしたイメージとして、それなりの市街地となっている場所は、都市計画区域と思ってもらってほぼ間違いないです。東京23区は、全て都市計画区域です。

さて、建築基準法の道路です。これも同じく区役所、市役所、役場で確認できます。
少し、専門的な話になりますが、建築主事が置かれていないと、市役所等であっても、建築基準法の道路かどうかは確認できません。
この場合には、別途、建築主事のいる建設事務所、土木事務所等に赴いて、調査をする必要が生じます。

建築基準法の道路には、以下のものがあります。

種類道路種別説明
42条1項1号道路法の道路・幅員4m以上の道路
・国道、都道府県道、市町村道
42条1項2号法令に基づいて築造した道路・幅員4m以上の道路
・都市計画道路や区画整理による道路、開発道路等
42条1項3号建築基準法施行時、または都市計画区域編入時に存在した道路・幅員4m以上の道路
・42条1項1号の道路は含まない
42条1項4号法律によって新設、変更の事業計画がある道路・幅員4m以上の道路
・2年以内にその事業の執行が予定されている、特定行政庁が指定している
42条1項5号位置指定道路・幅員4m以上の道路
・建築基準法令等で定める基準に適合する道路、特定行政庁が指定している
42条2項みなし道路・幅員4m未満の道路
・既に道路として使用され、道路に沿って建築物が建ち並んでいる、特定行政庁が指定している

42条1項3号、4号はあまり見かけないと思うので、それ以外のものをざっと見ていただければと思います。

2.接道義務

これは、建築基準法43条に、原則として、建築物の敷地は、4m以上の道路に2m以上接しなければいけないと規定されています。

先の表に、幅員4m以上の道路とあるのは、この為ですね。

3.無道路地での建築

ようやく本題ですが、先の接道義務によると、建築基準法の道路に2m以上接していない土地は、建築物を建てることが出来ません。

ですが、例外的に、建物を建てることが出来る場合があります。

これは、各区、各市等で変わってくるのですが、ここでは足立区を例にとります。似たような規定は他にもありますので、お調べの区市にお問合せ下さい。

足立区のホームページ

1の協定通路型を見てみます。

図には、記載されていませんが、赤で囲った家は、建築基準法の道路に接道していません。
接道するのは、現況幅員1.8mの通路です。
少しくどいですが、この通路は、建築基準法の道路ではないので、この通路にしか接していない家(土地)は、無道路地ということになります。
通路と書いてあるのは、建築基準法の道路ではないからなので、その区別の為です。
ですが、このような場合でも、将来的に幅員4mの通路協定を、通路に接する方達と締結出来れば、制限はありますが、建築(建て替え)することが可能となります。

ですので、建築基準法の道路に接しないからと云って、諦めず、このような制度を利用可能かどうか検討してみる必要があります。

4.まとめ

無道路地、建築基準法の道路、接道義務、建築基準法の道路に接しない場合の建築の可能性について説明させていただきました。

少し内容が難しかったかもしれませんが、建物が建てられるかどうかは、土地の価値に大きな影響を与えますので、とても重要なことです。
今回は、足立区を例に挙げましたが、他でも似たような規定はありますので、是非、調べてみて下さい。

なお、建築基準法の道路に接道していなくても建築可能な場合として、43条但し書きというのもありますが、これにつきましては、機会を改めて説明させていただきます。

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この記事を書いた人

東京都中央区日本橋室町にて、不動産、不動産鑑定会社である堤不動産鑑定株式会社を経営しています。
会社ホームページはこちらです。
https://www.tappraisal.co.jp/

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