はじめに|固定資産税は1.4%とは限らない
都市計画税について、都市計画税がかからない市町村があることを、下記のブログで説明させていただきました。

そうしますと、固定資産税についても、気になる方もいらっしゃるかと思います。
残念ながら、固定資産税がかからない市町村はありません。
そういうと、不動産を所有しているが、固定資産税は払っていない、という方もおられるかと思いますが、これは固定資産税には、免税点というものがあり、固定資産税評価額が免税点以下だと、固定資産税は課税されません。
これについては、本ブログの最後に解説します。
また、私は、固定資産税の税率は1.4%、都市計画税の税率は0.3%と覚えていますが、これは全国一律ではありません。先のとおり、都市計画税は、課税されない市町村もあります。
一方で、固定資産税は、課税されない市町村はないのですが、市町村によって、1.4%では場合があります。
今回は、1.4%ではない市町村の固定資産税の税率を見ていきたいと思います。

固定資産税とは?基本の仕組みと課税対象
固定資産税について、あまり知識のない方に向けて、固定資産税の概要を最初に説明します。
固定資産税は、土地・建物・事業用設備(償却資産)を持っている人に毎年かかる税金です。
課税の基準日は毎年1月1日で、この日に不動産を持っている人が納税義務者になります。
たとえば、3月に家を売っても、その年の税金は1月1日時点の所有者が払う仕組みです。

課税の根拠と税率
法律(地方税法)で、固定資産税の標準税率は1.4%と決められています。
ただし、これは「標準」であり、全国一律ではありません。市町村ごとに条例で税率を変えられるので、地域によっては1.5%や1.6%になることもあります。
さらに、都市計画区域内では都市計画税(標準0.3%)もかかる場合があります。
つまり、合計で1.7%~1.9%程度になる地域もあるということです。
課税対象は3つ
固定資産税がかかるものは次の3つです。
土地
家やマンションの敷地、駐車場など。
評価額は市町村が決める「固定資産評価基準」で算定されます。
住宅の敷地には軽減措置(住宅用地の特例)があります。
- 200㎡以下の部分 → 課税標準が評価額の1/6
- 200㎡超の部分 → 課税標準が評価額の1/3
家屋(建物)
木造・鉄筋などの構造や広さ、設備をもとに評価します。
新築の場合は評価額が高くなりますが、新築住宅の軽減措置がある場合もあります。
償却資産(事業用設備)
会社や個人事業で使う機械や設備など。
家庭用の家具や家電は対象外です。
毎年1月末までに市町村へ申告が必要です。
評価額はどう決まる?
評価額は、市町村が定める基準で決めます。
土地は路線価や地形、家屋は構造や築年数で評価します。
この評価額をもとに、課税標準額 × 税率で税額を計算します。
納付方法と注意点
固定資産税の納付方法は、毎年4月から6月頃に送付される納付書で案内されます。支払いは年4回に分けて行うのが一般的で、納期ごとに納付書を使って金融機関やコンビニで支払えます。
最近では、キャッシュレス決済や口座振替も利用できる自治体が増えており、スマホ決済やクレジットカード払いに対応している場合もあります。
納付期限を過ぎると延滞金が発生するため、通知書の記載内容を確認し、期限内に支払うことが重要です。
この章のまとめ
固定資産税は土地や建物にかかる税金で、税率は地域によって違います。都市計画税が加わる場合もあるので、納税通知書で確認しましょう。住宅用地の軽減や免税点を理解すれば、税金の仕組みがわかりやすくなります。
1.4%ではない市町村
タイトルで、1.4%ではない市町村とさせていただいておりますが、現在のところ、私が調べた範囲では、各市町村の固定資産税の税率を一覧にしたものは見つかりませんでした。
ですので、個別に調べたものをいくつか、抜粋する形で、以下掲載します。

1.5%
米子市(鳥取県)、鹿島市(佐賀県)、釜石市(岩手県)、上市町(富山県)、会津若松市(福島県)、舟橋村(富山県)、土佐市(高知県)、鳥取市(鳥取県)、田川市(福岡県)、那珂川市(茨木県)、出雲市(島根県)など
1.6%
秋田市(秋田県)、大牟田市(福岡県)、五ヶ瀬町(宮崎県)、青森市(青森県)、黒部市(富山県)、魚津市(富山県)、川本町(島根県)、高岡市(富山県)、弘前市(青森県)、八戸市(青森県)など
この章のまとめ
全てを網羅できている訳ではありませんが、固定資産税の税率が1.4%ではない市町村を紹介させてもらいました。
1.4%よりも高いと損だと感じられるかもしれません。
確かに、税率が高い方が、固定資産税の負担が増えますので、損には変わり有りません。これは、否定の出来ない事実です。
ですが、前記の市町村を見ていただくと、ある共通点があるのですが、気づきましたでしょうか。
いずれも地方都市だということです。
つまり、都心部と比較して、地価が安いということです。
先のとおり、税率が高いと、確実に固定資産税の負担は増えますが、もともとの土地価格が安ければ、税率が0.1%~0.2%程度増えても、実際の増加額はそれほどでもないでしょう。
単に税率だけでなく、実際の増加額も念頭において、冷静に検討して下さい。
固定資産税がかからないケース?免税点の仕組み
「不動産を持っているのに固定資産税を払っていない」という方がいますが、その理由は免税点にあります。免税点とは、固定資産税の課税対象となる評価額が一定額未満の場合、税金がかからないという仕組みです。
免税点とは?
固定資産税には、課税標準額が次の金額未満の場合、課税されないというルールがあります。
- 土地:30万円未満
- 建物:20万円未満
- 償却資産:150万円未満
この金額を下回る評価額なら、固定資産税はかかりません。たとえば、地方の小さな土地や古い建物などは評価額が低いため、課税されないケースがあります。
なぜ免税点があるの?
免税点は、税務事務の効率化と納税者の負担軽減のために設けられています。評価額が非常に低い資産にまで課税すると、徴収コストが税額を上回ることがあるためです。
注意点:合計で判断される
ここで重要なのは、同じ市町村内で複数の不動産を持っている場合、合計額で免税点を判断するということです。
具体例
- 土地A:評価額25万円
- 土地B:評価額25万円
それぞれ30万円未満ですが、合計で50万円になるため、免税点を超えます。この場合、両方の土地に固定資産税が課税されます。
免税点の対象外になるケース
- 複数の土地や建物を所有していて、合計額が免税点を超える場合
- 評価替え(3年ごとの見直し)で評価額が上がった場合
- 建物を増築したり、設備を追加した場合
償却資産の免税点
事業用の設備や機械などの償却資産にも免税点があります。評価額が150万円未満なら課税されません。ただし、複数の資産を合計して判断するため、注意が必要です。
まとめ
免税点は「固定資産税がかからない理由」を理解するうえで重要なポイントです。土地や建物の評価額が低い場合は課税されませんが、複数所有している場合は合計額で判断されるため、思わぬ課税になることもあります。評価額や免税点の仕組みを知っておくことで、納税通知書を見たときに「なぜ課税されたのか」がわかりやすくなります。
まとめ
固定資産税について、調べてみました。
網羅的に調査できず、少し半端な内容となっております。
これにつきましては、改めて、整理をしていきたいと思っています。
固定資産税、都市計画税を合わせて、トータルの税金額がどうなるのか検討することが重要かと思います。

