おとり広告に騙されない!不動産購入で失敗しないための完全ガイド

おとり広告に騙されない!不動産購入で失敗しないための完全ガイド
目次

はじめに|いまだになくならないおとり広告

不動産購入の初期段階で多くの人が頼るのが、インターネット広告です。

ポータルサイトやSNS、検索広告には魅力的な物件情報が並びますが、そこに紛れているのが「おとり広告」
実在しない、または販売済みなのに掲載し続けて集客するなど、消費者を惑わせる表示で、時間のロスだけでなく誤った意思決定につながることもあります。

本記事では「おとり広告」の仕組み、典型パターン、見抜く方法、遭遇時の対処法、そして信頼できる不動産会社の選び方までを、不動産購入者の視点で体系的に解説します。
はじめての方でも実践できるチェックリストと具体的アクションを用意しました。

今日から使える「騙されないための技術」を身につけ、安心・安全な物件選びを進めましょう。

インターネット広告

おとり広告とは?不動産購入でなぜ問題になるのか

本章では、おとり広告について、解説するとともに、おとり広告がどうしてなくならいのか、おとり広告の実例について説明します。

対策を立てるには、まず、おとり広告について、しっかりと理解することが大事です。

理解

おとり広告について理解しよう

「おとり広告」とは、実際には取引できない物件を、あたかも購入可能であるかのように掲載して問い合わせを誘引する不当表示のことです。

典型例は「販売済み物件の掲載継続」、「実在しない好条件物件の掲載」、「価格や面積・設備の誤認を誘う記載」など。
法律面では、宅地建物取引業者は誇大広告や不当表示をしてはならないとされ、虚偽・誤認惹起の表示は行政指導や業務停止、免許行政処分の対象になり得ます。
消費者保護の観点からも、合理的な意思決定を妨げる不当表示は重大な問題です。

おとり広告の典型例
販売済み物件の掲載継続
既に売却された物件を掲載し続ける行為
実在しない好条件物件の掲載
実際には存在しない魅力的な物件を掲載する行為
価格や面積・設備の誤認を誘う記載
価格、面積、設備に関する誤解を招くような記載

おとり広告はなぜ問題なのか

それでは、おとり広告は、なぜ問題になるのでしょうか。

以下のようなことが、通常考えられます。

  • 機会損失:実在しない物件に時間を費やし、良質な物件の検討を遅らせる。
  • 条件後出し:問い合わせ後に劣後条件の別物件へ誘導され、比較基準を失い不利な判断をしやすくなる。
  • 心理的圧迫:「人気」、「残り1戸」などの煽りで即決を促され、十分な情報確認をしないまま契約に至るリスク。
問題

なぜおとり広告がなくならないのか?

おとり広告は、昔から存在する問題ですが、いまだに改善されません。
理由の一つは、インターネットの普及が考えられます。
かつては、情報は紙ベースでしたが、現在はネットが主流ということも、おとり広告の根深い問題の原因でしょう。

東京都住宅政策本部の最近の相談事例にもおとり広告は取り上げられいます。

おとり広告がなくならい理由を整理しますと、次のようなことが考えられます。

問い合わせ獲得のインセンティブ

ネット集客が主戦場の今、掲載数・反響数が営業成果に直結しやすい。

掲載更新の遅延

在庫の流動性が高い都市部では、成約済み反映が遅れると「結果としておとり」になりやすい。

情報の非対称性

購入希望者は市場の相場・在庫状況に疎く、提示情報を信じやすい。
ただし、誤掲載や更新遅延と故意の「おとり」を見分けることは可能で、後述のチェックで対策できます。

おとり広告がなくらない理由
問い合わせ獲得のインセンティブ
ネット集客で掲載数・反響数が営業成果に直結
掲載更新の遅延
在庫流動性高い都市部で成約済み反映が遅れる
情報の非対称性
購入希望者が市場情報に疎く提示情報を信じやすい

おとり広告による被害の実例

ここでは、簡単ですが、被害の実例を3つ紹介します。

好条件なのに内見できない

問い合わせると「先ほど申し込みが入った」とされ、似て非なる割高物件を勧められる。

写真と実物がまるで違う

リフォーム前の写真、別部屋の写真、過度な広角レンズでの印象操作。

所在地が曖昧

「駅徒歩5分」とあるが、実は最寄り駅が違い実徒歩は15分以上。

おとり広告による被害の実例
内見できない
問い合わせると「先ほど申し込みが入った」とされ、似て非なる割高物件を勧められる。
写真と実物が違う
リフォーム前の写真、別部屋の写真、過度な広角レンズでの印象操作。
所在地が曖昧
「駅徒歩5分」とあるが、実は最寄り駅が違い実徒歩は15分以上。

この章のまとめ

おとり広告は、実際には取引できない物件を掲載し、消費者を誘引する不当表示です。

典型例は「販売済み物件の掲載継続」や「実在しない好条件物件の掲載」などで、宅建業法違反となり得ます。
問題点は、時間の浪費による機会損失、条件後出しによる不利な判断、煽り文句による心理的圧迫です。

さらに、ネット集客重視の業界構造や情報の非対称性が、根絶を難しくしています。
実際の被害事例として、内見不可、写真と現物の乖離、所在地の虚偽などが挙げられます。
対策の第一歩は、この仕組みを理解し、広告の真偽を見抜く力を養うことです。

おとり広告の典型的なパターンと見抜き方

おとり広告について、理解をしていただいたところで、ここからは、対策について説明していきます。

対策

よくあるおとり広告の特徴(価格・立地・条件)

よくあるおとり広告の特徴は、次のとおりです。

相場乖離の安すぎる価格

近隣の同規模・築年・立地と比較して明らかに安価。セットバックや再建築不可、借地、心理的瑕疵など重要条件が隠れている可能性。

曖昧な所在地・駅距離

「○○駅徒歩5分」としながら地図掲載なし/丁目表記がない。
別路線駅を「最寄り」とする表現のすり替え。

条件の後出し

管理費・修繕積立金、駐車場の抽選、ペット不可、エレベーターなし、告知事項あり等が本文に明記されない。

写真が過剰に美化

極端な広角、実在しないCG加工、モデルルーム写真の流用。
窓外の抜け感・眺望が実物と乖離。

CG加工

即問い合わせを煽る文言

「本日限定」、「問い合わせ殺到」、「残り1戸」などの圧迫表示。
意思決定の冷静さを奪う。

よくあるおとり広告の特徴
安すぎる価格
近隣の物件と比較して明らかに安価。重要な条件が隠されている可能性。
曖昧な所在地・駅距離
地図掲載なし、丁目表記なし。別路線駅を「最寄り」とする表現のすり替え。
条件の後出し
管理費、駐車場、ペット不可などが本文に明記されない。
写真が過剰に美化
極端な広角、CG加工、モデルルーム写真の流用。
即問い合わせを煽る文言
「本日限定」、「問い合わせ殺到」、「残り1戸」などの圧迫表示。

インターネット広告で注意すべきポイント

インターネットで情報を見る際には、次の項目に注意してみて下さい。
おとり広告にだまされないためには、情報をきちんと把握することが、第一歩となります。

掲載日・更新日の確認

更新が古いほど在庫不確実。最新在庫か必ず問い合わせで突合。

地図リンク・住所表記

丁目・番地までの明記、地図位置の正確性。地図非掲載は要注意。

建物の基本情報

築年、構造、所在階、向き、管理形態、長期修繕計画の有無。

価格の内訳

本体価格の他、管理費・修繕積立金・その他維持費、駐車場・トランクルームの費用。

法的・物理的制約

再建築不可、建ぺい率・容積率超過、接道状況、セットバック必要の可能性。

見抜くためのチェックリスト

おとり広告の典型的なパターンについて、説明させていただきましたので、次に、おとり広告を見抜くためのチェックリストを掲載します。

広告確認時(オンライン)

  • 掲載・更新日が直近か
  • 住所・地図・方位・階数が明記されているか
  • 図面と写真の一致(窓配置・柱位置・水回り)
  • 相場比較で妥当な価格か(坪単価・平米単価)
  • 管理費・修繕積立金・固定資産税等の概算を把握
  • 告知事項(事件・事故・近隣工事計画など)の有無

問い合わせ時(電話・メール)

  • 現在の在庫状況(内見可否・申し込み有無)
  • 売主の属性(個人/業者/リースバックなど)
  • 販売形態(専任/一般/代理/再販)
  • 価格改定履歴(いつ、いくら)
  • 重要条件の開示(再建築不可、告知事項、管理状況)
  • 他の同等物件提案の意図(代替提案が即出る場合は誘導の可能性)

内見時(現地)

  • 掲載写真と現地の一致(眺望・採光・設備)
  • 周辺環境(騒音・臭気・交通量・夜間の暗さ)
  • 建物共用部の管理状況(清掃・掲示・修繕履歴)
  • スマホの地図アプリで徒歩距離を実測
  • 増改築履歴・耐震性能・長期修繕計画の確認

地図・外部ツールで確認する方法

おとり広告かどうかをチェックする際に、以下の方法があります。
ぜひ活用してみてください。

地図アプリ・ストリートビュー

所在地の正確性、前面道路の幅員、近隣用途(騒音源・工場・飲食店の深夜営業)、新築工事計画の看板確認。

航空写真

日照・採光、隣接建物の高さ、将来の視界遮蔽リスク。

公的情報

都市計画図で用途地域、建ぺい率・容積率、建築制限(高度・斜線・日影)等を把握。
最近は、インターネットで確認できる地域が増えてきました。
インターネットで、確認できないとしても、市町村役場に電話をすれば、確認することが可能です。

価格相場サイト

過去成約事例と坪単価を照合し、乖離の理由を担当に質問。

信頼できる不動産会社を選ぶためのチェックポイント

情報そのものの真偽を調べることが、第一ですが、不動産会社も信頼に足りるかどうかも、事前に調べておきたいところです。

宅建業者免許番号の確認方法

  • 免許番号の表記(例:東京都知事(○)第×××××号)が広告・サイト・名刺に明記されているか。
  • 更新回数(括弧の数字)で事業継続年数の目安に。古ければ安心という単純な話ではないが、一定の実績の参考になる。
  • 法人情報の整合性:商号、所在地、代表者名が一致しているか。違和感があれば自治体の「宅建業者名簿」で照合。

口コミ・評判の見方と注意点

  • 星だけで判断しない:レビューの具体性(担当者名、案件内容、時系列)があるか。
  • 偏りのチェック:低評価の内容が手続き面か人格面か、改善が見られるか。
  • 自社サイトの事例は参考程度:第三者サイト、SNS、司法書士・住宅ローン担当者などのプロからの評価もヒント。

専任媒介契約や仲介手数料の透明性

  • 媒介契約の説明:専属専任/専任/一般の違い、囲い込み回避の姿勢(他社共同仲介の積極性)を確認。
  • 仲介手数料の算定:上限の範囲、割引の条件、成功報酬の定義。
  • 情報共有の透明性:内見予約、申し込み状況、価格交渉の過程を可視化する姿勢があるか。
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担当者の対応で見極める信頼度

  • レスポンスの速さと正確さ:在庫状況、条件の質問への即答性。
  • 不都合情報の先出し:騒音、管理課題、将来修繕負担など不利情報も積極開示。
  • 比較提案の質:代替案が「本命に近い合理的な選択肢」か「単なる在庫処理」か。
  • 契約前の書面整備:重要事項説明書・売買契約書の事前ドラフト提供と丁寧な解説。

おとり広告に遭遇した場合の対処法

まずやるべきこと(証拠保存・問い合わせ)

  • 証拠を残す:広告のスクリーンショット、掲載URL、更新日、担当者とのメール履歴・通話メモ。
  • 在庫の二重確認:担当だけでなく、別支店や他社にも同物件の在庫確認。
  • 事実の切り分け:誤掲載(更新遅延)なのか、故意の誘引なのかをヒアリングで特定。

通報・相談の流れ(実務)

  • 事業者への是正要請:担当・店長へ具体的な不一致の指摘。改善期限の確認。
  • 公的相談窓口:自治体の不動産関連窓口、消費生活センター、宅建業の監督部署へ情報提供。
  • クレームではなく事実共有:冷静な時系列と資料で伝えると、是正が早い。感情的対立は解決を遅らせる。

トラブルを避ける予防策(複数業者比較・現地確認)

  • 複数社への同時問い合わせ:同一物件の情報を複数社で突合し、不一致を洗い出す。
  • 現地優先の方針:内見可能な物件を優先。「内見不可」はおとりの可能性を想起。
  • 即決しないルール:その場で申込を迫られても、一晩は冷却期間を置く。
  • 自分のチェックリストの運用:上記チェック項目をルーティン化し、担当者との会話を構造化する。

ケーススタディ|よくあるシナリオと打ち手

ケース1:相場より2割安の駅近マンション

状況:写真は美麗、駅徒歩3分、築浅なのに格安。
打ち手

  • 相場サイトで近隣の過去成約単価を照合。
  • 管理費・修繕積立金が高額ではないか、修繕計画の滞りがないかを確認。
  • 告知事項(事故・事件)、再建築不可、借地権、団地内規約などの制約確認。
    判断:合理性ある値付け理由が説明されなければ、代替物件の比較へ。

ケース2:問い合わせ直後に「申込済み」→別物件へ誘導

状況:掲載直後のはずが「今決まった」。類似だが条件劣後の物件を提案。
打ち手

  • 掲載更新履歴の提示依頼。
  • 元物件の申し込み書類の有無(個人情報は伏せた上で、実在性の確認)を柔らかく質問。
  • 他社在庫の同条件物件を同時比較。
    判断:情報開示に消極的なら、おとり疑念を持ちつつ撤退。

ケース3:写真と現地のギャップが大きい

状況:眺望・採光が広告と異なる。
打ち手

  • 撮影日時・レンズの種類(超広角)を確認。
  • 間取り図との相違(窓・柱の位置)を検証。
  • 日中・夕方・雨天での再内見。
    判断:掲載手法が誤認を誘うなら、他の情報も慎重に疑う。

購入プロセスに組み込む「おとり対策」ワークフロー

要件定義

不動産購入の第一歩は「自分の基準」を明確にすることです。立地や駅距離、予算、広さ、築年数、管理状態など、譲れない条件と妥協できる条件を整理しましょう。これを曖昧にしたまま検索を始めると、魅力的な広告に惑わされやすくなります。優先度を決めることで、広告の煽り文句に左右されず、冷静な判断が可能になります。

相場の初期把握

次に、購入予定エリアの相場を把握します。過去の成約事例や平米単価のレンジを調べることで、広告価格が妥当かどうか判断できます。相場より極端に安い物件は「おとり広告」や告知事項ありの可能性が高く、逆に高すぎる場合は価格交渉余地や情報不足のリスクがあります。相場感を持つことは、広告の真偽を見抜く第一歩です。

候補抽出

候補物件は必ず複数のポータルサイトから抽出しましょう。掲載日や更新日が古い物件は、成約済みの可能性が高く「おとり広告」になりやすいので要注意です。また、地図の正確性も重要です。丁目や番地まで記載されているか、ストリートビューで確認できるかをチェックし、曖昧な所在地の物件は避けるのが賢明です。

問い合わせテンプレ

問い合わせ時には、質問内容をテンプレート化しておくと抜け漏れを防げます。確認すべき項目は、在庫状況(内見可否)、販売形態(専任・一般)、重要条件(告知事項、再建築不可など)、価格改定履歴などです。これらを一括で質問することで、業者の対応姿勢や情報開示の誠実さも見極められます。

現地検証

広告だけで判断せず、必ず現地で確認しましょう。内見時には、写真と現物の一致、採光や眺望、騒音、共用部の管理状態をチェックします。さらに、周辺環境(交通量、夜間の治安、近隣施設)も重要です。現地確認を怠ると、広告では見えないリスクを見逃す可能性があります。

比較表作成

候補物件を比較する際は、価格だけでなく管理費・修繕積立金、固定資産税などの維持費も含めて一覧化します。さらに、告知事項や法的制約などのリスクも記載し、総合評価を行います。こうした比較表を作ることで、広告の「本日限定」「残り1戸」などの煽り文句に惑わされず、合理的な判断ができます。

契約前の書面レビュー

契約直前に慌てて書類を読むのは危険です。重要事項説明書や売買契約書は事前に入手し、内容を確認しましょう。再建築不可や告知事項、管理規約など、広告では触れられない重要情報が記載されています。疑問点は必ず質問し、納得できるまで説明を受けることが、トラブル回避の鍵です。

意思決定の冷却期間

最後に、即決を迫られても「24時間ルール」を設けましょう。高額な不動産購入は、冷静な判断が不可欠です。煽り文句や営業トークに流されず、一晩考えることで、リスクや条件を再確認できます。この冷却期間が、後悔しない購入につながります。

まとめ|安全な不動産購入のために

おとり広告を避ける3つの鉄則

  1. 相場基準を持つ:価格の合理性を自分で検証。
  2. 情報の二重確認:住所・在庫・条件を複数ソースで照合。
  3. 現地最優先:写真より現地、煽りより書面。

不動産購入は高額で長期の意思決定です。魅力的な広告ほど、冷静さと検証力が求められます。本記事のチェックリストとワークフローを日々の検索・内見に組み込めば、「おとり広告」に時間や判断を奪われるリスクは大幅に低減できます。信頼できる担当者は、不都合情報も含めて誠実に開示し、比較検討を支援してくれる存在です。情報の透明性を重視し、合理的に前進しましょう。

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