DCF法という文言を聞いたことはありますでしょうか。
聞いたことのない方には、難しく感じられるかもしれません。
不動産価格を求める方法で、収益還元法の一つになります。
参考に、収益還元法のもう一つの方法は、直接還元法になります。
一般的に、収益還元法というと、直接還元法が用いられることが多いです。
DCFというのは、略語で、正式には、ディスカウントキャッシュフローになります。
難しそうですね。
ですが、エクセルの基本的な操作が出来、仕組みを知ってしまえば、それ程難しくはないと思われます。
なお、先に、DCF法は、不動産の価格を求める手法と説明させていただきましたが、不動産の価格を求めるだけでなく、企業価値を分析するような場合にも用いられています。
では、以下、DCF法について説明し、活用法についても触れていきます。
1.DCF法の説明
まず、イメージとして、以下の表を見て下さい。
DCF法の具体例となります。
ディスカウントキャッシュフローですので、毎年毎年のキャッシュフローを求めて、それを現在に割り引いたものを合算して求めます。
難しく思われたでしょうか。
表をまるまる見てしまうと難しく感じられたかもしれませんが、各部分毎で見ていくと、そんなに難しいものではありません。不動産投資を経験されている方でしたら、馴染みやすいかもしれません。
表の左の方の1年目という所をまず、見て下さい。
これだけ見ると、よく使われる直接還元法と同じだということが分かるかと思います。
各年毎に、総収益から総費用を控除した純収益を求めて、その各年の純収益を現在価値に割り引いて、合算して求められるのDCF法による価格になります。
不動産鑑定では、通常、10年間運用して、10年目末にその不動産を売却することを想定して、DCF法に収益価格を求めます。
11年目に売却しますので、その売却益も現在価値に割り引いて、これも合算します。
2.DCF法の活用方法
では、次に、活用方法を説明しますが、その前に、直接還元法とDCF法の比較をしたいと思います。
(1)直接還元法とDCF法の比較
最大の違いは、直接還元法は単年度の純収益で収益価格を求めますが、DCF法は、複数年度の純収益から収益価格を求めることになります。
従いまして、計算としては、直接還元法の方が容易ですね。
では、なぜ計算に手間がかかるDCF法があるのでしょうか。
これを検討するに当たり、次のような物件の収益価格を求めることを考えてみて下さい。
10年間運用することとします。
3年目に工事をします。4年目に賃料が下がることが予想されます。
このような物件の価格を直接還元法で求めることは出来るでしょうか。
直接還元法で、求めることは出来なくはないのですが、DCF法を適用した方が容易です。(このようなケースで直接還元法を適用する仕組みについては、別の機会に説明致します。)
ここで、一旦、簡単にまとめますと、直接還元法は、賃料などに変化がない場合に有効で、反対に、変化が見込まれる(特に不規則な)場合に、有用となります。
(2)DCF法の有用性
先に、簡単に、説明させていただきましたが、DCF法は、(不規則な)変化が見こまれる場合に有用となります。
これは、見方を変えますと、投資分析の際に、非常に有用な手法となります。
先にも、例を挙げましたが、実際の賃貸事業は、予想出来ることと、出来ないことを合わせまして、様々なことが生じます。
これを投資分析に反映させようとすると、直接還元法では困難なことが多く、DCF法の方が、使い勝手がいいです。
また、これから物件を取得する際にも、修繕計画などは、投資家の判断によって、時期や金額は変わって来ますし、賃料の今度の動向予測も異なってきます。
そうしますと、投資分析には、DCF法が最適な手法となってきます。
3.まとめ
DCF法とその有用性について、説明させていただきました。
DCF法について、関心を持ってもらえたら、筆者としては、幸いです。
説明中のDCF法は、画像になっていますが、改めまして、DCF法の詳細説明とそのまま活用できるエクセルを、アップしたいと思っております。
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