借地権のお問合せを多くいただきます。
その中で、借地権について、誤解されている方もいらっしゃいます。
そこで、今回は、借地権の基礎として、借地権の種類について、整理・解説をしたいと思います。
1.借地権の種類
まず、借地権の種類です。
借地権に種類なんてあるのか、と思われる方もおられるかもしれませんが、あるのです。
ここでは、
- 旧法借地権
- 借地借家法による借地権
- 定期借地権
の3つに分けたいと思います。
皆さんが、通常、借地権と読んでいるものは、上記でいうと、旧法借地権に該当するのではないかと考えております。
2.旧法借地権
ポイントになるのは、旧法借地権と借地借家法による借地権の区別です。
定期借地権は、これらとは、随分と異なりますので、特徴は掴みやすいです。
旧法借地権は、平成4年に制定された借地借家法よりも前に、締結された借地権になります。
私が今まで、不動産の実務をしてきて、取り扱った借地権のほとんどは、旧法による借地権と定期借地権です。
地域などにもよるのかもしれませんが、定期借地権を除けば、借地権のほとんどは、旧法借地権なのではないかと推測しております。
平成4年よりも前、と先に述べましたが、戦前や大正時代に設定された借地権も多いです。
旧借地法は、大正10年の制定ですので、それ以前に借地権はないということになるのでしょうか。
これについては、不勉強で申し訳ありません。
今のところ、分かりませんので、調べて分かりましたら、ブログにアップしたいと思います。
また、平成4年以降に締結された借地権は、借地借家法による借地権となりますので、旧法による借地権は、長い目で見ると、減っていくことになるのかと思います。
旧法借地権の特徴は、後に触れる借地借家法の借地権との比較になりますが、堅固・非堅固の区別があるかどうかです。
旧借地法では、堅固か非堅固かで、借地期間が異なりますが、借地借家法による借地権では、堅固・非言語の区別はなく、借地期間は一律となっています。
旧借地法では、以下のとおりとなります。
〇最初の契約期間
堅固 | 非堅固 | |
期間の定めなし | 60年 | 30年 |
期間の定めあり | 30年以上 | 20年以上 |
〇更新後の契約期間
堅固 | 非堅固 | |
法定更新 | 30年 | 20年 |
合意更新 | 30年以上 | 20年以上 |
3.借地借家法による借地権
借地借家法による借地権の場合には、先に述べたとおり、堅固・非堅固の区別はありませんので、以下のとおりとなります。
〇最初の契約期間
期間の定めなし | 30年 |
期間の定めあり | 30年以上の定めがあれば、それによる。 |
〇更新後の契約期間
法定更新 | 初回の更新は20年。 2回目以降の更新は10年。 |
合意更新 | 法定更新期間より長い期間を定めたときは、それによる。 |
4.定期借地権
定期借地権については、本ブログでは割愛致します。
ですが、一つだけ説明をさせていただくと、定期借地権は更新のない借地権となります。
従いまして、契約期間が終了するとともに定期借地権は消滅します。
なお補足になりますが、契約内容などにもよりますが、再契約が可能な場合もあります。
5.借地権の消滅
本ブログで一番説明したいところになります。
定期借地権は、期間の終了とともに消滅しますので、問題はありません。
では、旧法借地権や借地借家法による借地権の場合、借地権は消滅するのでしょうか。
更新契約をしていけば、ずっと継続していくように思えます。
答えは、そうなります。
半永久的に継続するものと考えていただいて大丈夫です。
この点、誤解をされている方が多いのですが、借地契約期間の終了とともに、借地契約が終了すると考えておられる方が多いです。
勿論、借地人と地主が合意すれば、そうなりますが、通常は、そうはなりません。
なぜなら、借地権は取引の対象となり、地域にもよりますが、それなりの経済価値を有しているからです。
例えばの話しですが、もう借地は使用せず、契約期間も終了するので、地主に返す、ということも考えられます。
ですが、先のとおり借地権は売却することが可能なのです。
従いまして、契約終了とともに、経済価値がゼロとなる、と思いこまないで欲しいのです。
反対に、地主の方から、借地を返して欲しい、となったとします。
この場合も、契約期間が終了したから返して欲しい、とはならず、更新契約が可能であり、どうしても地主が返して欲しいというのでしたら、正当事由が必要となり、これには、高額の立退料が支払わることになります。
言い方を帰れば、この高額の立退料の分だけ、借地権は価値があるとも言えます。
6.まとめ
借地権は、普段、不動産にかかわりのない方からすると、分かりにくいです。
ですが、分からないからと言って、地主のいいなりになるのではなく、きちんとご自身の権利を主張して欲しいと思います。