土地・建物、あるいはマンションなど、不動産を所有されている方には、固定資産税と都市計画税が課税されます。
毎年、1月1日時点の所有者に、市町村によって、若干異なりますが、5月前後に、所有者宛てに、納税通知書が届きます。
上記のことは、不動産を所有されている方からすれば、当たり前のことですが、都市計画税がない市町村があるのは、ご存じでしたでしょうか。
都市計画税は、当然に課税されるものだと思っていたので、この業界に入って、ある市町村の案件を取り扱った時に、都市計画税がなかったのです。
”無かった”というと、課税漏れのように、誤解を与えてしまうかもしれませんので、もう少し性格に述べますと、その市町村では、都市計画税の課税がなかったのです。
ですので、支払うのは、固定資産税のみとなります。
通常、固定資産税は課税標準額の1.4%、都市計画税は課税標準額の0.3%ですので、両方合わせて、1.7%となりますが、都市計画税がなければ1.4%となります。
今回は、この都市計画税がない市町村について、説明をしたいと思います。
1.浦安市
先に述べましたが、私が取り扱いのあった物件所在地で、都市計画税がないのは、浦安市です。
浦安市といえば、東京ディズニーリゾートのある市で、誰もがご存じでしょう。千葉県の北西部に位置します。
ディズニーリゾートもあり、都市計画税も課税されない、となると、ディズニー好きな方は、浦安市に住みたくなるかもしれません。
ですが、都市計画税は、土地の価格や規模によって異なってくるので、一概にいくらぐらいとは言い難いのですが、浦安市で、仮に、都市計画税が課税され、税率を0.3%としたら、100㎡程度の土地で、2~3万円程度になるでしょう(建物にも別途かかります)。
金額自体はそれほど大きくはないかもしれませんが、毎年かかるものですで、長期間住むのでしたら、総額はそれなりの金額になってきます。
では、なぜ、浦安市には、都市計画税がないのでしょうか。
答えとしては、推測ですが、都市計画税を課税しなくても、十分な税収があるからでしょう。
ディズニーリゾートによる税収入が豊富なのかもしれません。
2.そもそも都市計画税とは
次に、浦安市以外の都市計画税のない市町村に入っていきたいのですが、その前に、後の説明の理解が容易となるように、都市計画税について、少し理解を深めていただきたいたいと思います。
(1)都市計画税とは
以下は、総務省のホームページからの引用になります。
”都市計画税は、都市計画事業や土地区画整理事業(図「都市計画事業と土地区画整理事業の概要」参照)を行う市町村が、都市計画区域内にある土地や家屋に対して、その事業に必要となる費用に充てるために課する税金です。
都市計画税を課税するかどうかは、それぞれの地域における都市計画事業等に応じて、市町村の自主的な判断(課税する場合は条例が必要)に委ねられます。”
(2)3つのポイント
前記の説明から、3つのポイントがあります。
一つは、「都市計画区域内」です。都市計画区域外では、都市計画税は課税されません。
二つ目は、「都市計画事業や土地区画整理事業の費用に充てる」です。これらの事業が行われていなければ、課税されない、ということになります。
最後が、「市町村の自主的な判断に委ねられる」です。市町村が、課税の必要がないと判断すれば、課税されないことになります。
都市計画区域外については、こちらでまとめておりますので、よければご覧ください。
3.他の市町村
私が実体験を持って知っているのは、前記の浦安市だけなのですが、調べてみると、他にもあるようです。
以下は、国土交通省の令和3年都市計画現況調査によります。
令和6年6月修正との記載がありますが、令和3年3月31日現在のデータとなります。
(1)全国
表の一番上は、全国のデータですが、都市計画事業施行市町村数889のうち、都市計画税徴収市町村数623となっており、約30%が課税されていないということになります。
30%というのは、案外に多いのではないかと思います。
もっとも、お住まいのエリアによって、印象は変わってくるかもしれません。
現在、課税されているエリアの方からすると多く思われるかもしれませんが、課税されていない方からすると少なく感じられるでしょうか。
上表は、一部除外しておりますが、データには、都市計画区域内市町村数もあり、全国は1,352となっています。
そうしますと、都市計画区域内市町村数1,352に対して、都市計画税徴収市町村数623ですから、約半分が課税されいない、ということになります。
(2)他市町村
以下は、上表の都市計画事業施行市町村を基準に話しを進めます。
東京都と神奈川県を見ていただきたいのですが、市の内、一つが都市計画税が課税されていません。
調べて見たところ、東京都は狛江市、神奈川県は海老名市のようですが、両市とも、現在は都市計画税が課税されています。
表の下の方を見ていただきたいのですが、高知県と沖縄県の右端の割合が”-”となっています。
これは、高知県と沖縄県は、都市計画税が課税されていない、ということになります。
3.まとめ
今回調べてみて、高知県と沖縄県において、都市計画税が課税されていない、ということは全く知らず、驚きでした。
税金ですので、安い、若しくは、払わずに済むことに越したことはありません。
ですが、少し見方を変えますと、都市計画事業は、街の機能維持や更新に必要なことですから、十分な税収がなく、都市計画事業が実施出来ていない、ということでしたら、それも問題です。
都市計画税の有無と地価との関連、都市計画税が課税されていない市町村において、どのように都市計画事業を推進するための費用を賄っているのかなど、今後調べていきます。
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[…] 都市計画税のない市町村 -都市計画税が課税されないのはお得?- 2024年11月17日 […]