賃貸物件にお住まいの方、あるいは、事務所や店舗などを賃貸されている方は、契約の際に、家賃保証会社を利用されているのが通常かと思われます。
現在では、契約締結の際に、家賃保証会社を利用するのが、契約の条件となっているのが通例だと思います。
物件によっては、家賃保証会社利用が必須となっている物件もあります。
本ブログでは、家賃保証会社の説明とその歴史を説明させていただき、その後に、ブログタイトルのとおり、家賃保証会社の有効利用について、提案させていただきたいと思います。
1.家賃保証会社について
調べてみますと、日本賃貸保証株式会社が1995年に開始したのが、家賃保証の始まりだそうです。
その後、2007年(平成19年)のリーマンショック以降の不況で、滞納者が続出したことに加え、高齢化社会や人間関係の希薄化等により、家賃保証会社の利用が増えていきました。
つまり、連帯保証人を立てるのが難しくなってきたということですね。
賃借人からすると、家賃保証会社に手数料を支払うことにより、連帯保証人を立てずに、賃貸借契約を締結することが出来るのがメリットとなります。
通常、手数料は、家賃の1ヶ月分(住宅の場合には、0.5~1か月。更新時にも、いくらかを支払う)ですので、安い金額ではないです。
連帯保証人を立てることが可能で、滞納の心配がない入居者からすると、余計な費用という見方も出来ます。
2.保証会社の有効利用について
さて、今回お話させていただきたいのは、タイトルのとおり家賃保証会社の有効利用についてです。
内容としましては、事務所、店舗向けの話になります。
住宅の場合には、敷金は1~2か月程度ですので、メリットはあまりないかもしれません。
絶対にないとう訳ではないので、通常よりも敷金を多く支払っているような場合には、参考になるかもしれませんので、最後までお読みいただけたらと思います。
先にも触れましたが、保証会社利用が一般的になってきたのは、リーマンショック以降ですので、約15年前となります。
そうしますと、それ以前に入居されていた方は、保証会社を利用する代わりに、連帯保証人を立てるともに、恐らく、現在よりは、高額の保証金を支払っていたのではないかと思われます。
物件の規模やグレードによっても異なってきますが、事務所の場合には、保証金は通常6か月を中心に、3~12か月程度となっているのかと思います。
モデルケースとして、保証金を12か月支払っていたものとします。
家賃保証会社の有効利用というのは、ビルオーナーに、保証会社を利用するので、保証金の一部返還をお願いしてみるというものです。
保証金はそもそも、賃料滞納時の担保ですから、保証会社に加入すればオーナーが賃料を回収できなくなるリスクはほぼなくなります。
そうしますと、オーナーとしても、保証金を一部返還してみたとしてもリスクはない筈です。
滞納リスクがなくなれば、後は、原状回復工事費見合い分を確保出来ていれば大丈夫ということになります。
なお、保証会社によっては、原状回復工事も保証してくれる場合もあるので、保証内容を比較検討することが重要です。
今回のモデル(保証金12か月)で、保証会社を利用することで、オーナーが保証金の内、3か月分を返還してくれたとしたらどうなりますでしょうか。
家賃の3か月分が戻りますが、保証料が必要となります。
保証料は通常1ヶ月分ですから、差引2か月分の家賃が戻ってくるということになります。
1月当たりの家賃によりますが、割と大きな金額になるのではないかと思います。
ですので、保証会社未利用で、高額の保証金を支払っている場合には、保証会社の有効利用を是非検討してみて下さい。
一方で、このような相談を受けた時、ビルオーナーはどうしたらいいでしょうか。
家賃保証会社に加入してもらえるのですから、一部保証金を返還しても問題はありません。
ですが、返還する保証金額については、先にも触れさせて頂きましたが、原状回復工事費見合い分は確保していただきたいです。
退去時に原状回復工事費を巡ってトラブルになることは良くあります。
そのような場合でも、テナントとしては、保証金額を原状回復工事費の最大額としたいと思われることが多く、保証金以上に原状回復工事費がかかる場合に、追加で請求することは、困難な場合が多い為です。
ですので、このようなトラブルを予め避ける為にも、原状回復工事費見合分の保証金は手元に残して置きたいところです。
また、もう一つ注意していただきたいのは、保証会社を利用した場合、テナントが家賃を滞納すると、通常2か月の滞納で追い出しということになる場合が多いです。
保証金を多目にもらっていれば、数か月の滞納であれば問題はありませんし、その間に、テナントの資金状況も改善し、その後は家賃を、きちんと支払ってくれるかもしれません。
なので、短期の滞納で、テナントを追い出してしまうことは、リスクとも言えます。
その時点での市況を見極めて、すぐに次のテナントが決まる場合であれば、追い出してもいいかもしれません。
また、すぐに決まるとしても、現在の賃料水準よりも大幅に減額となるような場合には、比較検討することが重要となります。
従いまして、ビルオーナーは、現状回復工事費の見合分は残すのは必須で、後は、テナントの資金動向等を見極めた上で判断することが重要です。
3.まとめ
以上、家賃保証会社の有効利用について、提案させていただきました。
保証金を預けている側すると、そのお金は有効利用出来ていない訳ですから、返還してもらうメリットは大きいと思います。
一方、返還する側すると、先のとおり、色々と検討しなければいけないこともあります。
ビルオーナー側について、もう一つお話をさせていたきますと、テナントが資金繰りに困っているような場合には、保証会社を利用してもらって、一部保証金を返還してあげるというのも、信頼関係の構築に役立つのではないかと思います。
家賃保証会社の有効利用を是非検討してみて下さい。
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