先のブログで、限定価格について、簡単に触れさせていただきましたが、今回は、もう少し具体的な話しをさせていただきたいと思います。
限定価格の話をするには、厳密には計算式が必要となり、数字が苦手な方には、敬遠されてしまうかもしれませんが、今回は、数字は出て来ますが、計算式は使わず、出来るだけ理解しやすい解説にしておりますので、最後までお付きあい頂けたらと思います。
1.限定価格とは何か
まず、限定価格についてです。
先のブログでは、「限定的」、という文言を何度か使いましたが、不動産鑑定の用語になりますが、隣の土地を高く買う場合の価格を限定価格といいます。
お隣さん同士という限定された市場で成り立つ価格なので、限定価格と云うと、分かり易いでしょうか。
教科書的で恐縮ですが、不動産鑑定評価基準では、以下のとおり定義されています。
限定価格とは、市場性を有する不動産について、不動産と取得する他の不動産との併合又は不動産の一部を取得する際の分割等に基づき正常価格と同一の市場概念の下において形成されるであろう市場価値と乖離することにより、市場が相対的に限定される場合における取得部分の当該市場限定に基づく市場価値を適正に表示する価格をいう。
限定価格を求める場合を例示すれば、次のとおりである。
(1)借地権者が底地の併合を目的とする売買に関連する場合
(2)隣接不動産の併合を目的とする売買に関連する場合
(3)経済合理性に反する不動産の分割を前提とする売買に関連する場合
3つ例示されていますが、(2)が、本ブログの隣の土地を買う場合、ということになります。
本ブログと関連の薄い話になりますので、(1)と(3)については、今回割愛します。
ですが、(1)のケースはよくあるのかと思いますので、機会を改めて、解説したいと思います。
(3)のケースは、少し難しい書き方をしてますが、分割して、土地の価格が安くなる場合に、その安くなる分を上乗せする、ということになります。
2.限定価格の具体例
それでは、具体的な内容を見ていきたいと思います。
下の図を見て下さい。
まず、上の図を見ていただきたいのですが、土地Aと土地Bがあります。
話を簡単にするために、土地の大きさは、どちらも100㎡です。
土地Aの方が、広い道路に面し、角地ですので、価格は高いです。
一方、土地Bは、土地Aに比べて、面する道路の幅員は狭く、角地ではありませんので、土地Aよりも安くなります。
土地Aは、1,000,000円/㎡で、1.0億円、土地Bは、500,000円/㎡で、0.5億円とします。
また、土地Aと土地Bが一体となった場合が、下図の土地A+Bです。
土地単価は、土地Aと変わらないものとすると(1,000,000円/㎡)、総額は2.0億円となります。
これだけでも、ピンと来た方は、ひょっとしたらいらっしゃるかもしれません。
単独の土地Aと土地Bを合算すると、1.5億円ですが、土地A+Bは、2.0億円です。
土地Aと土地Bが別々の場合と比較すると、土地A+Bでは、0.5億円分、増えています。
この増えた0.5億円について、鑑定用語では、増分価値と云います。
では、解説していきます。
土地Aが売りに出ていたとします。
売出価格は、勿論、図にある1.0億円(1,000,000円/㎡)です。
土地Bの所有者以外の方が、購入する場合には、1.0億円が妥当な価格となります。
それでは、土地Bの所有者が、土地Aを購入するとしたらどうでしょうか。
先のとおり、土地A+Bになると、2.0億円となりますので、増分価値の0.5億円分だけ高く買っても、損はしません。
つまり、1.5億円(1,500,000円/㎡)で買っても言い訳です。
今のケースで云うと、5割増しですね。
なお、ここで注意していただきたいのは、5割増しで買っても損をしない、ということであって、5割増しで買わなければいけない、ということではないことです。
ですので、限定価格というのは、観念的には、隣地を最も高く買っても損をしない価格、と云えるかと思います。
3.まとめ
限定価格について、今回は、少し理論的に説明させていただきました。
例にもよるのかと思われますが、隣の土地を倍出してでも買え、というのは、理論的には、少し行き過ぎているのかもしれません。
勿論、理論的には、土地Aと土地Bの価格差によっては、倍出してもいいような場合があることは、否定しません。
なお、厳密には、不動産鑑定では、増分価値をそのまま買主の方に上乗せするのではなく、配分割合を別途求めて、増分価値を売主と買主に案分します。
これは、どうしても計算式が必要となってきますので、これにつきましては、機会がありましたら、別途説明させていただきたいと思っております。
コメント
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[…] 今回のブログをお読みいただく前に、前回と前々回のブログを、再度、ご一読いただきますと、理解が容易になるかもしれません。 […]